異なる純血種から生まれるミックス犬は、現在では一つの犬種カテゴリーとして広く認知されています。
しかし、ミックス犬同士を交配して次世代を作ることは、遺伝学的に適切ではありません。
その理由は、雑種強勢(ヘテローシス)が持つ性質と、世代が進むにつれて起こる遺伝的リスクにあります。
一般に「雑種は強い」と言われますが、これは 計画的に作られた初代交雑(F1) に成立する現象です。
また、長い年月をかけて自然界で弱い遺伝子が淘汰され続けた雑種(野良猫や何代も混ざった犬)にも当てはまります。
しかし、F1同士を交配してF2・F3と世代を重ねると、むしろ遺伝的リスクが増大する のが遺伝学の基本原理です。
その理由として、
1. 隠れていた劣性遺伝子が再び表面化
F1では、遺伝子がヘテロ接合(Aa)になることで、有害な劣性遺伝子(a)が優性遺伝子(A)に隠されていました。 しかし F1同士(Aa × Aa)を交配すると、1/4の確率で aa(ホモ接合)が出現し、隠れていた遺伝病が再発する 可能性が高まります。
2. 遺伝子の「チームワーク」が崩壊(雑種崩壊)
F1は、異なる系統から「完成された染色体セット」をそのまま受け継ぐため、バランスよく機能します。 しかしF2を作る際には、減数分裂で 染色体の乗換え(遺伝子シャッフル) が起こります。
その結果
・長年かけて各犬種が築いた遺伝子の協調関係(共適応遺伝子複合体)が分断される
・生存力・繁殖力・健康性が低下する
・遺伝的安定性の低下、いわゆる 「雑種崩壊」 が起きる
という問題が生じます。
3.なぜ畜産・農業ではF2を作らないのか
畜産や農業の現場では、 「優秀なF1同士を掛け合わせてF2を作る」ことは原則として行われません。
理由は明確で、
・F2は遺伝的に不安定
・性質がバラバラになり、品質が揃わない
・健康性・生産性が低下する
といった問題が避けられないためです。
そのため、常に純粋な系統A × 純粋な系統B → F1
という方式で、一代雑種(F1)を作り続ける必要があります。

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