散髪の思い出

 大学生の頃、散髪は衣食住に続く、ささやかながら欠かせない生活の一部でした。

当時はいまのような格安店はなく、どこへ行っても料金はほぼ同じでした。

 

大学構内にも床屋があり、空き時間に利用できて便利でした。

やはり料金は街の床屋と同一でした。

 

そんな中、友人が「千円でカットしてくれる美容院」を見つけてきました。

自宅の一角で、主婦の女性が一人で営む小さなお店、すいているので待ち時間はありません。

ただし、カットそのものには時間がかかります。話好きの方で、会話が弾むと手が止まるのです。

たわいもない話をしながら、ゆっくりと髪を切ってもらいました。

 

常連になると、こう勧められました。

「小原さん、パーマかけんさい。かっこよくなるから」

それから、時間はさらに長くなり、料金も床屋より高くなりました。