「エンゼル」は、愛想のよい夫婦が営んでいた定食屋で、
大学の正門近くにあり、一人でも、友達とも、一番よく通ったお店でした。
研究室の先生とも勉強のこと、他愛無いことを話しながら食事を楽しみました。
とんかつ、ハンバーグ、鮭のバター焼き、から揚げのローテーション、
定食にはサラダとナポリタンが添えられていてました。
冬になると、寄せ鍋定食や鍋焼きうどん定食といった温かいメニューも加わりました。
いずれも550円でした。
定食屋が小さな町にいくつもあったのには、大学の事情が関係しています。
私の通っていた大学では、学生の9割以上が下宿生でした。
マンションやアパートでの一人暮らしは半数以下で、風呂や台所が共用の下宿に住むのが一般的でした。
家賃も光熱費込みで月1万5千円以内に収まる部屋が多く、その分、食費に余裕を持たせることができました。
また、男子学生が多く、自炊するより近くの定食屋を利用するのが自然な流れとなっていました。
とはいえ、私の在学中にもワンルームマンションが増え、学生たちの生活スタイルは少しずつ変化していました。
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ちゃたろう (金曜日, 04 7月 2025 20:30)
学生さんのお腹をしっかり満たしてくれる、お財布にやさしい定食屋さんが
たくさんあったのですね。
一人でも気軽に入れるお店はいいですね。
小原公成 (金曜日, 04 7月 2025 21:22)
ちゃたろうさん、コメントありがとうございます。
いい加減な学生だった私も、上級生になる頃には、生活の中心が研究室になっていました。
定食屋で晩ごはんを済ませたあと、再び研究室に戻って勉強する日々。
小さな町の小さな大学でしたが、食生活は意外と充実していたと思います。
それから、「エンゼル」で一人で食事をするときには、週刊ジャンプを読むのがささやかな楽しみでした。