獣の奏者

 

ドリトル先生は獣医師が主役の最も有名な本ですが、今回紹介するのは「獣の奏者」です。王獣、闘蛇という架空の生物を治療する獣ノ医術師の話で「獣の奏者エリン」としてアニメ化されています。作者の上橋菜穂子は、児童文学のカテゴリーとらわれない書き方をしています。その村ではあり得ないとされた、異民族との結婚で生まれたエリン。父が亡きあと、異民族で獣ノ医術師の母親と慎ましく暮らしています。母親の闘蛇を治療する卓越した技量と思慮深さのおかげです。しかし、その技量がゆえに母親はエリンの前で惨殺されます。生き延びたエリンは、学びたい欲求、王獣を愛する一心で獣ノ医術師の学校に入ります。エリンは母親譲りの非凡な才能で王獣と会話する方法を見出します。しかし、卓越した技量がゆえにエリンもまた宿命に苦しみます。自分の育てた王獣が兵器になると分かり、政治の渦に巻き込まれます。全4冊と番外編1冊です。表紙は、野生の王獣に驚嘆するエリン。

 引用文献 獣の奏者Ⅰ闘蛇編、上橋菜穂子、講談社