抗菌薬に思う

 

 渥美清は芸名で渥美半島が由来であり、東三河にも縁がありそうです。渥美清は、フランスにいたころに結核を病み、右肺の摘出手術を受けました。遠くない昔、私たちの親の若い頃には、抗菌薬は入手できず結核の治療は、入院安静、肺葉摘出が一般的でした。命がけの手術により復帰し、その後の活躍は皆さんのご存知の通りです。しかしその時の輸血からの肝炎、肝硬変、肝がんと昭和の終わりのころには、日常生活もままならなかったそうです。

 フランスとは浅草フランス座、ストリップ劇場のことです。浅草芸人は、自嘲と敬愛を込めて“フランス”と呼びます。ここフランスは、渥美清のほか、井上ひさし、萩本欽一、ビートたけしを輩出しています。

不況とはいえ、飢えることなく、医療も充実したこの時代、私たちは恵まれています。今日も抗菌薬を処方しながら、そんなことを思っています。